October 10, 2010

宝物のような



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忘れないように書き留めておこう。

昨日は写真展3つを見てきた。
一番最後に台場のGALLERY 21で行われていた「写真の力」展を見た。その後のキュレーターの太田菜穂子さんによるギャラリートーク、さらに作品を持ち込んできた二人の方のポートフォリオ講評まで覗かせてもらったのだが、この講評のやりとりが脇から聞いていた僕にとってもとても勉強になった。

まず一人目は、「水もレンズと同じなのではないか」という着眼点を元に、プールの底から見える世界を撮られた方。プールの中に気泡を起こし、外に置いたマリア像が泡の中に映り込んでいたり、波紋の写真を前に「動けば水面に波紋が出来るように、我々が生活している時でも空気は振動し合っているんだ」と解説をされていたりと、ユニークな視点をもった方の作品。
太田さんは「面白いし、青色も綺麗。だけどまだ曲にはなっていない。転調をしたりね。多分今日は良い物だけを持ってきたと思うけど、それ以外の物も持ってくると良かったかも」などと講評されていた。

二人目は女性の方で、一ヶ月という女性の体の周期をモチーフにした想像写真。一人目の方が製作期間「10年くらい」に対して、二人目の方は「2、3週間」とのこと。
太田さんは「方向は良いけど、一ヶ月を1回じゃなくて、例えば一年やれば12回になるわけでしょ。そのうちに新たな気づきもあるかもしれない。量は質を高める」さらに「予定調和になっている。撮る前からあなたの中にゴールが出来てしまっているから、見ている側には"あぁ、そうですか"で終わってしまう。撮っている側にも思いもつかない予想外な事が起こるから、そのためにはやはり量を上げなくてはならない」などと講評されていた。

その後に仰っていた事では「デジタルカメラが出てきて、写真がより手軽になってきている。だけど見ている人たちは賢いから容易い写真はすぐに見透かされます。自分はこれだけの事をやったのだと揺るぎなく言えるだけの努力、これがこれからの作家に求められる」という話が印象に残った。

芸術の現場で活躍される方のとても貴重な話の数々、言葉のひとつひとつが僕にとっては宝物のようだった。そして僕も真剣に作品作りをしてみたくなった。
太田菜穂子さんによるポートフォリオ講評は月に2回ほど行われているそうです。GALLERY 21のサイトからニュースレターに登録をするとポートフォリオ募集の通知などが来るそうです。

写真は別の日に伺った写真展での一枚。写真家の兼本玲二さん。

May 16, 2010

ローライがつなぐ縁



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これまでローライフレックスを首から提げて歩いていると「珍しいカメラだね」と声をかけられることがままあった。これも折角の縁だと思ったので、今年から声をかけてくださった方を一枚撮らせていただくことにした。
これは東京都写真美術館で撮らせていただいたもの。明るくて品のある方でした。

May 9, 2010

母の日



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スーパーに買い物に行き、店頭に大量に並べられていたカーネーションを見て今日が母の日だということに気付いた。

母親は僕が小学校一年生のときに脳梗塞を患ってしまい、以来右半身が不自由になってしまった。
しかし母は小さな僕に不憫な思いをさせてはいけないと、聞き手の逆の左手一本で料理を始めとした家事をこなし、僕を育ててくれた。
母は僕が20歳のときに他界してしまったのだが、結局なにも恩返しができないままだったのが、いくつになっても悔やまれる。